夜明け前の石畳の通り。町家の軒先に灯りが残っている。

JOURNAL 01

朝の八坂を歩く

まち歩き

観光の人波が来る前の、朝の東山。宿の玄関を出て、石畳の坂をのぼり、八坂の塔まで歩く一時間のことを書きました。

まだ誰もいない石畳

朝の六時。玄関の格子戸をあけると、路地にはまだ夜の湿り気が残っています。まわりの店はどこも雨戸を閉めていて、聞こえるのは自分の足音と、どこかの家で米を研ぐ音くらいです。

ここに宿を開いてから、晴れた朝はできるだけ歩くようにしています。同じ道でも、季節によって光の入り方がまるで違う。お客さまに「朝はどこへ行けば」と聞かれたときに、自分の言葉で答えられるように、という理由もあります。

灯りに照らされた坪庭。紅葉と苔、白い玉砂利。
出かける前に、まず坪庭の様子を見る。夜のあいだに落ちた葉を、ひとつずつ拾う。

坂の上で、塔が見えてくる

二つ目の角を曲がると、坂の先に八坂の塔の屋根が見えてきます。昼間は写真を撮る人で立ち止まれない場所ですが、この時間は塔と自分だけ。ゆっくり見上げて、深呼吸をひとつ。

塔の下の小さなパン屋では、もう窯に火が入っています。店主とは顔なじみで、毎朝のように少しだけ立ち話をします。

この時間の東山は、まだ町の人のもの。

塔の下のパン屋の店主

観光地として知られる場所にも、暮らしている人の朝があります。私たちの宿も、その町の一軒です。お客さまには、そんな東山の顔も知って帰っていただけたらと思っています。

朝の散歩、三つのすすめ

  • 出発は六時半までに。七時を過ぎると、坂に人が増えはじめます。
  • 歩きやすい靴で。石畳は、雨のあとよく滑ります。
  • 帰りは別の路地から。行きと違う景色に出会えます。
朝の光が畳に格子の影を落とす広間。
戻るころには、縁側の間に朝の光が入りはじめている。

戻ったら、朝ごはん

宿に戻るころには、台所から白味噌のいい匂いがしてきます。歩いたあとのご飯は、いつもより少しおいしい。朝の散歩の地図は、フロントでお渡ししています。どうぞ気軽にお声がけください。

※ 登場する人物・店舗は架空です。